2018/04/29

第49話 週刊現代2018.5月号の『AIが完全予測「給料が下がる仕事」「上がる仕事」全210職種 技術革命で消える仕事がわかった!』を読んだ感想






週間現代の2018年5月号に面白い記事がありましたので、私見も踏まえて書きます。


『AIが完全予測「給料が下がる仕事」「上がる仕事」全210職種 技術革命で消える仕事がわかった!』


と言うタイトルですが、みんなが好きそうなアイキャッチですね。




最近はAIやデジタルテクノロジーと言った事が進んで来ているせいか、この手の消える職業的な話題が多い。





そしてその給料下がる第1位がなんと「歯科医師」⁈


平均月収がおよそ64万円から、17万円ほどになるとの予想です。


理由をみるとAI搭載ロボットが治療や手術を担当する様になるとの事。


もう一つの理由としては、全国に6万件以上ある歯科医院の経営が苦しいとの事でした。


後者の歯科医院数過多はもうずっと言われており、その中での現在の収入というところなのでそこはあまり理由になりません。


要はAI搭載ロボットによって仕事が奪われるという事ですね。





また歯科医師だけでなく、歯科技工士も給料が下がる仕事に第31位にランクイン。


これもおそらく仕事の機械化という事でしょう。


あと下がる職業で一つ目に止まったのは第83位に入っていた「CADオペレーター」。


これはコンピューター上で製品製作のためのデザインを行う仕事の訳ですが、私たちのような職人的仕事からすればこれもデジタル化ですが、それも消えると言うのはおそらくAIの影響があるという事でしょう。





反対に給料の上がる職業として目を引いたのが第4位の「歯科助手」でした。


理由は歯科の現場の仕事はなくならないから、ロボットのアシスタントをするとの事。


第70位には「歯科衛生士」が入っていました。


さてここからが本題で、私の意見を述べさせて頂きます。


まず給料が上がる仕事の第1位に「縫製工」とありますが、この理由は「アパレル業界が少品種大量生産から、多品種少量生産になるため技術力の高い国内の縫製工に移行する。」との事。


まさにそれはその通りだと思います。


オーダーメイドには技術が必要であるという事と言い換える事が出来るでしょう。


しかし、それを歯科治療に当てはめて考えても同じ事が言えます。


そもそも人間一人ひとり違う訳なので治療のすべてがオーダーメイドです。


大量生産などではなくむしろ一つとして同じ治療はありません。


そして、基本的な事をいわせてもらうと歯科治療はめちゃくちゃ難しい。


まさに職人の世界です。


おそらく、一般の人がやったらおそらく一発で医療事故になるでしょう。


そうならない様に6年間の専門的勉強や動物実習、解剖実習、そして病院内臨床実習をこなし、さらにそこから数年は現場で下働きをして独り立ちできるくらいになるのです。


私たちは深い知識と数ミクロン単位の技術を最低限両立して医療現場に立っているのです。


どのくらい高い技術が必要かという事をこの記事を書いた人は全く理解していないでしょう。


是非マネキン実習でもしてその難しさを体験して私たちが毎日毎日どれくらい繊細な作業をしているのかを認識してもらいたいところです。


総合して見るとAI参入と機械化すれば給料が下がる、人の技術が必要となるものは給料が上がるという事ですが「歯科医師」と「縫製工」の様に人の繊細な技術が関わる同じ条件なのに反対のグループに所属するというこの矛盾。


いわゆる理論破綻しています。


他にもその専門知識が必要だから給料が上がるなど書かれていますが、知識こそむしろ無限にコンピューターに入れられる訳ですし、それこそまさにAIで置き換わる部分です。


細かい事を言えば歯科助手が人間の補助からロボットの補助に代わるだけで何故給料が月に10万円近くも上がるのでしょうか?


もし治療をロボットがするのであればその補助はむしろ歯科医師の仕事になるでしょう。





あとこれは少し違う話ですが、歯科衛生士の現状の給料が16万円程と書かれています。


残念ながら日本全国で月16万円で歯科衛生士を募集しても応募はないでしょう。


何を調べたらこの数字になるのでしょうか?


とにかく数字を書くとリアリティーが生まれるので引き込まれますが、その説明は根拠が不明で矛盾を多く感じる記事でした。


どうぞみなさんも買って読んでみて下さい。


第50話に続く。

第50話 松風歯科クラブ臨床講座で講演させて頂きました。 ~新時代を見据えた審美歯科の在り方~









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